| 移管先 : | 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 臨床医学系腎臓内科 |
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「平成19年4月から平成22年3月までの活動は以下の通りです。
「戦略研究」とは、わが国の国民の健康を維持・増進させるために、優先順位の高い慢性疾患・健康障害に対して、その予防・治療介入および診療の質の改善介入などにより、国民の健康を守る政策に関連するエビデンスを生み出すことを目的とした大型の臨床介入研究です。
そのため、厚生労働省が予め国民的ニーズに基づいて策定された方針に従って具体的な政策目標を定めた上で、成果目標と研究計画の骨子を決定します。その後、選定された機関が実際に研究を行うリーダーや、研究に協力する施設等を一般公募する過程を経て、研究が開始されます。
平成19年度からは、腎疾患対策の更なる推進を図るため、「戦略研究(腎疾患重症化予防のための戦略研究)」が実施されることになりました。そしてその実施主体として、平成19年6月25日に開催された厚生科学審議会科学技術部会に於いて、本財団が選定されました。
2007年末の日本透析医学会の統計によれば、透析患者数は275,119人に達しており、新たに透析が必要となった患者数も36,909人と増加傾向に歯止めがかかっていません。また透析にかかる医療費も既に1兆3千億円(国民総医療費の約4%)に達しています。すなわち、国民の健康維持と医療費削減の双方の観点から、腎臓病への対策を強化し、腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)を必要とする末期腎不全患者数を減少させることは、わが国の医療における重要課題と言えます。
近年、持続性蛋白尿や糸球体濾過量低下を主要な兆候とする「慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)」という概念が確立されました。そして現在、この「CKD」という新しい概念が注目されています。透析患者さんの数は腎臓病患者さん全体からみれば「氷山の一角」であり、水面下には透析予備群として多くのCKD患者さんが存在します(わが国では約1,330万人と推算)。すなわち透析患者さんを減らすためには、予備群であるCKD患者さんに対して適切な治療が適切な時期から開始されることが望まれます。しかし残念ながら、現状では全ての医療機関で有効とされる治療が適切に行われるには至っていないようです。実際、透析導入直前になって腎臓専門医に紹介されるケ−スが25〜40%に達するとの報告もあります。一方、患者さんにとっては、CKDは症状がほとんどありませんので、なかなか医療機関を受診するまでに至りません。そこで腎臓専門医以外の医療関係者(非腎臓専門医、かかりつけ医、看護師、管理栄養士、薬剤師、保健師など)や社会全体がCKD対策に目を向けなければ透析患者さんの数は減らないであろうと考えられるようになってきました。またCKDは末期腎不全の予備群であるばかりでなく、心血管系疾患(心筋梗塞、狭心症、脳卒中)の発症危険率が高いことも明らかになっています。CKDという概念で包括される腎臓病が、心血管系疾患の危険因子となるという事実もこれまで以上にCKD対策が重要視されるきっかけとなりました。
さて、CKDは治療が不可能なのでしょうか?決してそうではありません。腎臓専門医が提唱するCKD診療を行えば、CKDの進行を抑制できることもわかっています。つまり、かかりつけ医/非腎臓専門医と腎臓専門医の間のよりよい協力体制を確立し、日本が持っている医療資源を有効に活用することが、CKD対策のために最も有効であると考えられます。
本研究では、透析導入患者数を減少させることを目的に、かかりつけ医/非腎臓専門医に通院中のCKD患者さんを対象として、「かかりつけ医/非腎臓専門医と腎臓専門医の協力を促進する、慢性腎臓病患者の重症化予防の為の診療システムの有用性を検討する研究」を行います。
5年後の透析導入患者を、5年後に予測される導入患者数の15%減少した値とする。
「かかりつけ医/非腎臓専門医と腎臓専門医の協力を促進する慢性腎臓病患者の重症化予防の為の診療システムの有用性を検討する」
CKD患者さんが医療機関を適切に受診した結果、CKDの進行が抑制され、透析を要する状態にまで悪化しなくなるかどうかを検討します。本研究では、クラスターランダム化比較研究という方法を用います。具体的には、参加医師会をA群とB群とに無作為に分けます。両群ともに、「CKD診療ガイド(日本腎臓学会編)」に則った診療を行って頂きますので、現在のわが国におけるCKD診療の標準以上の治療は受けられます。ただしB群では更に、①受診促進支援、②生活・食事指導、を受けます。この①②が「かかりつけ医/非腎臓専門医と腎臓専門医の協力を促進する慢性腎臓病患者の重症化予防の為の診療システム」であり、この有効性を検証することになります。またこの診療システムが有効であると証明された場合には、将来においてこの診療システムの普及が期待されます。
本研究課題を実施するに当たり、当財団より研究リーダーを公募し、10名の応募者の中から、厚生労働省健康局疾病対策課が設置した外部の選考分科会にて、研究リーダーには筑波大学大学院人間科学研究科臨床医学系腎臓内科教授 山縣邦弘先生が選任されました。その後、アドバイザー委員会にて研究実施計画書が纏められ、その計画書は倫理委員会、運営委員会にて承認されました。また公募の後、15の幹事施設が運営小委員会での検討を経て、運営委員会にて選ばれました。その後、幹事施設が関連する医師会へ説明を行い、49の医師会にご参加いただくこととなり、各医師会から総計約550名のかかりつけ医の先生方が研究へご協力下さることとなりました。現在、研究へ参加いただくCKD患者さん2,500名の登録に向けてご協力をお願いしているところであります。
本研究にはFROM-Jという略称がついています。腎疾患の診療成果(Renal Outcome)を緩和(Modification)させる(=透析患者さんを減らす)ための最先端(Frontier)の臨床研究を日本で(in Japan)行おうとする意思を示すため「Frontier of Renal Outcome Modifications in Japan」の頭文字からとりました。またこの研究成果により、腎疾患の重症化を予防するためにはどのような医療が提供されることが有効であるか、科学的エビデンスを我が国から発信し(from Japan) 、それが世界に広まり、我が国のみならず世界の腎臓病患者さんの診療成果が向上することを願って命名されました。

当財団ではこの戦略研究を円滑に進め、かつ倫理的問題が生じないよう、外部の委員によって構成される各種委員会を設置しております。
- 戦略研究運営委員会
- 戦略研究倫理委員会
- 運営小委員会
- 研究リーダー
- アドバイザー委員会
- 幹事施設

